相続人以上に相続人となり得る?

相続法改正による配偶者居住権の創設など配偶者を守る規定が充実してきていますが、確かに長年連れ添ってきた配偶者の生活を守ることは重要なことです。しかし、一言で配偶者と言っても色々な夫婦模様がありますし、相続における配偶者という位置付けには被相続人の配偶者と相続人の配偶者という大きく分けて2つのものがあります。細かく言いますと更に法律上の配偶者と事実上の配偶者と枝分かれしていきます。更に婚姻期間等の区別も出てきますのできりがありません。

そこで、今回は「相続人の配偶者」という視点でお話ししたいと思います。

「相続人の配偶者」は法律的には相続権はありません。しかし、相続権が無いながらも当該相続に大きく関わることがあります。代表的なものが「相続人の親の介護」、長男や二男の配偶者が親の介護者となる場合などです。この場合、相続人であれば直接「寄与分」の主張もできますが相続権を有さない「相続人の配偶者」は自分自身の権利として「寄与分」の主張はできませんので、その配偶者である長男や二男が「寄与分」の主張をするということになる訳です。ここに「親の介護による寄与分の主張を基にした争族」の根幹があるのではないかと思います。今回の相続法改正で「相続人の配偶者」が救われる手段が法的に成立しましたが、なかなか難しい問題になるのではないでしょうか。

「介護の度合い」にもよりますが、自己犠牲(貢献度)の度合いが強ければ強いほど、何もしない相続人に比べて、「相続人以上に相続人」と例えることもできるのではないかと思います。今後の超高齢化社会ではこの問題は相続とは切っても切れない問題になるのではないかと思います。(現在も既に重要な問題ではありますが。)

次に、これは相続という問題をややこしくしてしまうことなのですが、相続人の配偶者が当該相続において、いわゆる「口出し」をしてしまうことです。

ただでさえ共同相続人の生活状況や個々の事情によって話がまとまり辛い遺産分割の現場で、相続権を有さない者が口出しをすると話がどんどん複雑になってしまいます。話し合いの現場にいなくても相続人が自身の家庭に戻ったときに配偶者があれやこれやと口出しすれば、それは相続人の考えや態度に影響してきますから、結局は遺産分割に影響してくるということになります。

確かに相続による分割結果は相続人の配偶者にも関係してくることがあるかもしれませんので他人事ではないという気持ちも分からなくはないですが、「相続人以上に相続人」の気持ちなったり、「相続人以上に相続人」の立場になってしまったり、ということになってしまうことが当該相続に悪い影響を与えるということに当人は気付いておらず、自己主張の繰り返しになってしまうのでしょう。

今回は「相続における配偶者」というものを少し違った視点でお話ししました。「相続人の配偶者」というのは守ってあげなければならないケースもあれば、抑えなければならないケースもあると思います。難しい問題ですが、相続人は自身の配偶者のことも頭に入れながら相続に向き合わなければならないこともあるということを頭の隅にでも置いておきたいものです。