未だ変わらぬ「相続を相続税から考える」傾向と情報発信

相続対策というと以前は(特にバブル期)税金対策というのが当たり前でした。多額の税金を払うということが相続における最大の問題であると考えられていたからでしょうか。

確かにバブル経済期には相続税は大きな問題だったと思います、他の問題があったにもかかわらず、それが隠れてしまうほど。

筆者の地元でも、バブル期後半にはいくつものビル(店舗兼共同住宅を含む)やマンションなどが建設されました。収益重視のものもあれば相続税対策のものもあったのではないかと、今になって考えることもあります。そういう時期にはやはり、相続税対策が重視されていたのは当然のことだったかもしれません、後のことは考えずに。

この時期(時代)には、今のように相続をマネジメントする専門家など皆無に等しい状態だったでしょう。相続の専門家といえば税金対策のための、そして、申告業務のための、税理士さんだったのでしょう。しかし、この税理士さんたちは「遺産分割が終了したら連絡ください」というような決まり文句で、遺産分割が終了した後の業務だけを請け負っていました。

そのような時代(遺産分割に関わる専門家がいない)が続き、相続は『争族』『争続』と揶揄されてきたわけです。つまり、調停や審判に持ち込まれる事案が多かったということです。調停や審判に持ち込まれなくても、争いがあったり、泣く相続人や笑う相続人、ほくそ笑む相続人、怒りをあらわにする相続人など、データとして表には出てきていない様々な相続があったことでしょう。

そして、十数年前から「相続の専門家」という人たちが出現しました。(もっと前からやっていた人もいると思いますが、ここでは専門家達という概念で捉えた場合とお考えください)

筆者が相続の専門家をとして業務を開始したのが11年前の平成19年ですが、その頃は「相続の専門家?なにそれ?」と言われたような時代でした。

その数年後には、相続の専門家と言われる人たちが徐々に増えてきて、税制改正による実質的な相続税増税によりさら急速に増えてきました。

この約10年程で相続を取り巻く環境が劇的に変化してきたといえます。

それにもかかわらず変わらない、もしくは、変化が少ないことがあります。それは、相続の専門家という人たちの相続に関する情報発信の多くが、あいも変わらず「相続税」を主体としたものであるということです。

「相続税」をテーマにすれば情報発信しやすというのもあると思います、税務の知識を当てはめていけばいいのですから。そのように発信された情報ほど、実務経験の無さを感じる内容であったりするのも事実です。

このように情報発信する側から「相続税」主体の内容ばかりであると、情報を受け取る側の一般の方も「相続=相続税」から抜け出せなくなってしまうのではないかと思います。ですから今だに「相続?うちは裕福じゃないから関係ない」というように考える方がいるのではないでしょうか。

大事なのは、なぜ揉めるのか?という点です。

確かに税金がかかりそうな人は税金額のことも大切ですが、まずは、『分け方』をどうするか、という視点が重要です。

その上で税金の検討です。
順番が逆になってしまうと、取り返しのつかないことにもなりかねません。

遺産分割、不動産、税金、保険をトータルで考えてアドバイスしてくれる専門家を見つけてください。