おっと、うっかり、利益相反行為

家族には様々な形態があります。一般的には両親と子供という形態が多いと思いますが、現代社会においては以前に比べ、離婚や再婚などということはごく普通に行われており、それによって複雑な家庭環境というものも存在します。

離婚となった場合に、子供がいなければ当人同士の問題だけとなりますので、それほど複雑な環境を残すことはないでしょうが、そこに子供がいた場合には、特にその子が未成年者であると、その子供の親権というものが問題となってきます。

親権は父母の婚姻中は、父母が共同で行いますが、婚姻解消となった場合にはどちらか一方が親権者となります。

親権の内容としましては、子の監護養育、子の財産管理、経済的扶養が挙げられます。

子の財産管理について民法では次のように規定されています。「親権を行う者は、この財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。(824条前段)」

親権者の代理権は、認知の訴えの提起等の例外的に認められる身分行為を除いて、原則、財産上の行為に限って認められます。そして、この財産上の代理行為は、“利益相反行為”に当たらない限り広範な裁量に委ねられていると考えられます。

では、親権者の財産上の代理行為を制限している“利益相反行為”とはいかなるものでしょうか。

利益相反行為とは、親権を行う父また母とその子との利益が相反する行為、または、親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合に、その1人と他の子との利益が相反する行為のことを言います。もう少しだけ噛み砕けば、親権者には利益となりその子には不利益となる行為、または、親権に服する子の一方のための利益であって他方の子には不利益となる行為のことです。

このような場合には親権者は、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求し、その者に代理または同意をさせなければならないことになっています。

そして、この利益相反行為は、親権者がどのような意図であろうと、行為の外形上で判断すると判示されています。

利益相反行為に該当する親権者が子を代理した行為は無権代理となり、子が成年に達した後、本人の追認がなければ、本人への効力はありません。

親権者とその子の関係で生じる利益相反行為の他、相続で生じる可能性のある利益相反行為は“成年後見人と成年被後見人”の間の利益相反行為です。

成年後見人は成年被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為を行う代理権があります。その代理権も、利益相反行為の制限を受けていますので、成年後見制度を利用する場合には専門家等とよく相談をして、着実に進めて行くことをお勧めします。

今回は相続において問題となりやすい、しかし、当人たちには知られていないことが多い、“利益相反行為”について簡単にご紹介しました。

あれっ?と思われる方は専門家に相談してみてください。